
宮古市では、宮古高や宮古商業、宮古市の体育館で合同稽古を行いました。参加校は宮古高・宮古商業・宮古工業・大槌高・久慈高・気仙沼向洋高に近隣の中学校と、たいへん大きな規模の合同稽古で、多くの中高生と交流することができました。

山田町では、地域の子どもたちと柔道交流を行いました。元気に柔道を楽しむ子どもたちの姿が印象的でした。
津波によって学校が流されてしまった高田高校(大船渡市内に移転)には、2年前に早稲田の道場から畳を運び入れ、新たな道場を作りました。今回もその道場で、高田高・大船渡高・大船渡東高の生徒と一緒に稽古を行いました。「2年前にもここで一緒に稽古しましたね」と、当時中学生だった女子生徒が声をかけてくれた時はとても嬉しく感動しました。

気仙沼では、気仙沼高・気仙沼向洋高・志津川高・地域の中学生と一緒に、気仙沼高校にて交流を行いました。気仙沼向洋高校は校舎が津波の被害を受け、仮設の校舎はできたものの、多くの部活動の施設は近くの気仙沼高校と共有しています。柔道部も普段から一緒に稽古をしているそうです。そのような環境下でも現地の高校生たちは熱心に稽古に励んでいます。

今回の交流支援活動では、どこへ行っても皆一生懸命に柔道に打ち込んでいる姿が印象的でした。ずっと楽しみにしていたと言ってくれた生徒もいました。先生も生徒もそれぞれ震災によって様々なものを失って、それでも明日の未来を創ろうとしています。
現地の状況は2年前に行ったときと比べると大きく変わり、しかしまだ何もできていないというような印象でした。土地のかさ上げや、住宅、高校などの建設が進む一方で、流されてしまった住居の基礎がいたるところに残っているという状況です。震災はまだ終わっていないということを実感させる景色がいたるところに見受けられました。
今回お世話になった宮古市出身の先輩より後日メッセージをいただきました。(以下要約です)
「東京から最も遠い被災地といわれている宮古に(柔道部として)3回目の訪問感謝しております。早稲田の学生と柔道を通して触れ合えたことは子供たちにとって一生の思い出となったでしょう。町は2年半が経とうとしているのにこれから家の基礎を撤去するような状況です。日を追うごとに震災の記憶は風化されてきていると思いますが、皆様が訪れることで元気をもらえますので是非また訪れてみてください。」とのことでした。前回に訪れたときも悩んだことですが、柔道だけしていて役に立っているのか、他にもっとできることがあるのではないか?という気持ちがありました。少しでも現地の人たちが喜んでくれたのであれば嬉しく思います。
また一方で「多くの人が様々な形で支援してくれている。しかしながら一方的に送られても負担になってしまうこともある。まずは自分の目で見に来て、なにが必要なのか考えてみてほしい。」という話も訪問先で伺いました。
まだ震災は終わっていません。報道もほとんどされることがなくなってきました。しかし、現地ではいろいろな問題が起きており確かに人々が生活を続けています。震災直後と現在とでは状況は変わってきています。いま私たちができることは見てきたことを伝え、いま何が必要か考え、そして震災は昔の出来事ではなく、今起こっていることだということを伝えていくことだと思います。
(教育学部3年 川端一平)